しばらく文字を記さないまゝでいて
そうして
ひさしぶりに
ぽつぽつ
記しはじめようとしてみると
驚く
記すべきことの
少なさに
記しておきたいことの
あまりのなさに
あゝ
もう解放されたのだ
と思う
記すことから
なにごとか
さも大ごとのように書こうとしたり
たゞ書くだけでなく
それをいっぱしの詩のように
小説のように
随筆のように
あるいは
メモや日乗のたぐいさえ
理性の怜悧さを保ち
感情の抑制を利かせようとして
たくらみいっぱいにでっち上げるのが
ようやく
長く続きすぎたものの
すこしずつ小降りになっていった雨のように
去っていったのだと
0 件のコメント:
コメントを投稿