たとえば冬の
あたりまえにうすら寒い
ひかりの弱い午後の
いかにも冬らしい
軽いさみしさやさびしさや
そんなことを
多すぎることばでではなくて
かといって
俳句の
もううんざりの
あの口調ではなくて
平易に
けれども
あゝ、ほんとうに
そうだ
そのとおりだ
と思えるふうに
書いてくれている詩なんかを
読みたいと思う
ほんとうは
なのに
詩人はみんな
じぶんのことを語り出したり
じぶんの感情や
考えや
いまの世の中のことなんかを
くっつけて語り出してしまって
つまらない
うざったい
わずらわしい
ひとりの人間として
とか
個人として
とか
現代人として
とか
そんなの
どうでもいい
たゞ
冬の日の午後の
あたりまえのうすら寒さや
ひかりの弱さ
いかにも冬らしい
軽いさみしさや
さびしさや
そんなことだけ
書いてほしい
そんなことだけの
詩がほしい
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