2020年11月13日金曜日

ぼくらの小さかった頃はまだ

 

冬も本当に寒くなってくると

ぼくらの小学校では

石炭を焚いた

石炭だけでは燃えないので

薪もストーブに入れる

火は新聞紙で点けて入れたり

新聞紙を入れておいて

そこにマッチを入れたりする

火を点けるのは

先生がすることが多かったが

生徒は順々にストーブ係をしたので

生徒が火を点けることもあった

 

石炭や薪を取りに行くのは

ストーブ係の仕事で

冷え込んだ朝や雪の日など

寒くて寒くてつらかった

でもトタンのバケツを提げて

何人かで取りに行くのだ

ストーブの中で燃えた石炭滓も

下の口を開けて掃き出し

それもバケツに入れて捨てに行く

子どもたちのことだから

灰を握って投げ合ったりもする

そうして先生に怒られたりする

 

こんなだったから

冬の教室は暖かくて

とにかく嬉しいところだった

暖かさがそのまま嬉しさで

この単純な価値観が貴重だった

こんな寒さ暖かさの中で

宮沢賢治なんかを読んだりすると

ぼくらにはよくわかったし

賢治の書く雪や寒さは

遠くもなく昔でもなく

そのままぼくらのもののようだった

こんな子ども時代だったのだ

ぼくらの小さかった頃はまだ




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