あの夏の数かぎりなきそしてまたたつたひとつの表情をせよ
小野茂樹
もう過ぎていってしまったが
去年の夏に続き
ことしの夏も
なんとすばらしい
暑い
暑い夏であったことか!
暑ければこそ
すこやかに育まれていく
肉体の部分というものもあり
それを知る人たちは
夏の暑さを無駄にはしなかったことだろう
暑くあるべき夏が
湿った花火さながらに
涼しく
さびしく過ぎていったこともあり
そのゆえに農作物の被害も
大きかったこともあった
酷暑とばかり呼ばれ
悪い時代に入ったかのように
嫌なこととして
塗り込められようとすることしの夏を
たくみに
長所を利用しながら過ごした
われわれは
記憶すべき輝かしい一夏だったと
立冬を前に
あらためて思い出しておこう
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