波が打ち寄せるのを見ているうち
こんなにリアルな波の打ち寄せをしばらく見ていなかったと
感動、というのとは違って
驚く、というのとも違って
むしろ確認しようとするかのように
見えていることが本当に見えているのかと確かめようとするかのよ うに
両足を海水に洗われ続け
砂の中に何センチかは埋もれながら
来る波
来る波
まだ見続けて
尽きない泡立ちも波が作り出すレースの綾も
見続けて
そうして
ふと我にかえってまわりを見まわすと
すでに陽は落ちていて
西の海上のほの明かりさえ失せていたのでした
……などという
通俗な
言語表象弱者むきの販売促進系の小説にはよくありそうな
お定まりのひとつの終わりかたにはなってはおらず
まだ
見続けているのです
まだ
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