まだ暑いといっても
もう
残暑の暑さ
夏が終わって
空気や雲にうっすら秋が滲み染まってくると
むかしのこの時期が
つぎつぎと
思い出されてくる
どれも今のことのようで
ありありと
色も
かたちも
ひとの口から洩れることばも
目の前にあり
耳元にある
小さかった頃
大人たちも
もっと老いたひとたちも
むかしのことなど
すっかり忘れてしまっていて
なんにも覚えていないのだろうと
よく思ったが
じぶんが歳を重ねてきて
驚かされるのは
子どもの頃から最近までのことが
こんなに
失われないまゝある
ということ
どれも今のことのように
ありありと
色も
かたちも
ひとの口から洩れることばも
目の前にあり
耳元にあれば
ひとは
それらのひとつひとつを見直そうと
聞き直そうとして
立ち止まってしまう
虚空を見つめてしまう
傍目には
なぜだかぼんやりとしているように
見えてしまう
まだ暑いといっても
もう
残暑の暑さ
夏が終わって
空気や雲にうっすら秋が滲み染まってきている
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