2020年7月30日木曜日

触りそうにしている


  
本はぜんぶ捨ててしまったので
部屋の奥にまで
自由に波の寄せ来る絹雲が
わたくしの居どころ

捨ててしまった本たちから
透明のほそい(でも、ちょっと薄みどりっぽいかな…)
管がのびてきて
背中の舌のほうや
耳の裏とかを
くすぐったりしてくる

触るべきものはぜんぶ触ってしまった
指の腹で
生まれる前のヴィーナスの腹を
わたくし
触らず
触りそうにしている




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