プロシアへのフランス革命の影響については
カール・マンハイムが
ずいぶんキリッとまとめて書いている
社会科学的言説としては抽象の極みだろう
ぼくはこれを森博氏の訳で読んでいるが*
マンハイム自身の注に加えるかたちで
ときどき差し挟まれる訳者の注が
つねにこちらが持っている問題に新たな視界を開いてくれる点で
とてもよい注になっていて勉強になる
ゾンハルトなどを経由して養われた視点だろうが
「絶対主義」については
こんなことを書いてくれている
うれしくなるような滋養に富んだ注ではないか
絶対主義は
封建制自体のなかにその片足をおきながら
他方では前期商業資本に片足をおき
旧貴族制度に対立し
政治の形式を貴族の腹芸から解放して
これに商業簿記的な合理性を与え
合理的外交取引をおこなうことにより
自国の存立を計ることが主要目的のひとつであったから
自分自身の立場を強調し
その所管事項を一般化して
ただ封鎖的・静態的な体系をつくり保持するという
限定的な合理主義的傾向が支配的であった
しかし
このような合理主義も絶対主義の初期に見られるもので
後期に入るといちじるしく冒険的・投機的の色彩を強くするに至る
こう認識すれば
絶対主義が現代社会や現代国家とそのまま地続きなのがわかる
つまり絶対主義が一気に現代的問題となる
どの時代にあっても資本のありかたは「前期商業資本」的なのだし
どの時代にあっても「旧貴族制度」的なものがあるのだから
絶対主義の分析はほぼ永遠に役に立つだろう
*『保守主義的思考』(カール・マンハイム、森博訳、
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