夏休みに入ったばかりで
いそいでやらないといけないこともなくって
おじいちゃんの家にきたぼくは
まだ五時ごろというのに
おじいちゃんとおばあちゃんのあいだに小さい布団を敷いてもらっ
ひとり目覚めたものの
もうちょっと寝ているように言われるだろうなあ
と思いながら
目だけはきょろきょろ見まわしながら
横になっている
おばあちゃんはいびきをかいていて
そんなにうるさくないけれど
人間というよりカバかなにかのような音を
鼻の奥から出している
おばあちゃんは太っていて
カバみたいなところもあるから
いびきの音もよく似合っていると思う
寝室からは木づくりの露台に出られ
日中にはおばあちゃんが洗濯物を干すが
夕方になってきて取り込む時には
ぼくもけっこう手伝ったりする
子どものぼくの背はまだ低いので
おばあちゃんが洗濯物を取り込むわきにいて
両腕でひとつひとつ受けとる
おじさんもおばさんふたりもいる家なので
洗濯物は毎日いっぱい出るから
庭の物干竿にも洗濯物を干すのだけれど
雨が降ったりするとそっちのほうは大変なことになる
ひとりでお絵かきしていたり
本を読んでいたりしても
大声で呼ばれて
降り出していた雨の中にぼくも飛び出て
ワアワア言いながら
おばあちゃんと洗濯物を取り込んで
縁側にボンボン放り投げる
白猫のチロなんかが縁側に居たりすると
あいつの上にも洗濯物が降ってきたりするから
チロなりにもけっこう大事件だ
ニャとかフニャとか声を出しながら
あっちこっち逃げているうちに
六畳の畳の部屋とかに逃げ込んで
ちょこなんと畳の上に座って
毛づくろいを始めたりする
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