暑すぎるわけでもなかったが
湿度が増した時もあって
すこしつらい暑さとも感じられる日だった
しかし
これが夏のいちばん元気な時期で
つまり一年のいちばん盛りの時なのだと思いながら
すこし坂になっているところも歩き
片側に雑草の生い茂っているところも通った
なにか美しいものを見た気がする
だがそれがなんだったか
一日が終わる頃には思い出せなくなっていて
机を前にして座りながら
それでもあれこれ思い出そうとしたが
思い出せないまま
すこし寝落ちしてしまった
起きてから
陽のすっかり落ちた後
驚かされるほど
時間がゆっくりとしか進まない数十分が来た
じつは世界はこれほどまでにスローモーションなのだ
ひょっとしたら停止したままかもしれない
そう思わされるほど
時間がなかなか進まなかった
どこかで見たはずの美しいものは
とうとう思い出せなかった
ひょっとしたら
一年の頂点の
夏の暑さのなかにある核のようなものを
見たのだったかもしれない
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