2024年4月1日月曜日

細くまとまったみどりの葉

  

 

 

蕾はちゃんと付いていながら

桜の花の咲くのが

これほどぐずぐずとして

なかなか咲き出さないというのも

めずらしいのではないか

 

おかげで

ひとつひとつの

蕾のあたりを

毎日

見つめてみることに

なった

 

そうして

はじめて気づいたが

蕾といっしょに出てくる

細くまとまった

みどりの葉の部分が

とてもうつくしい

 

毎年のように

ひろがる前のこういう葉の部分も

目にしていたはずだが

何日も続けて

蕾のあたりを見つけたので

ようやく

つよく意識に残るように

なったのだった

 

あっという間に開花してしまえば

どうしても

ひろがる前の葉の美しさには

意識はむかわないまま

目は花ばかりを追ってしまう

 

若山牧水は

山桜が咲こうとするところを

 

うすべにに葉はいちはやく萌えいでて咲かむとすなり山ざくら花

 

と歌ったが

ソメイヨシノの花が咲こうとする頃には

なかなか濃い

みどりの葉が筒状になって

花柄のわきに伸びてくる

 

みどりの

開く前のこの葉の

うつくしさに

意識をじゅうぶんに留めることができたのは

花の開花を見るのと同じくらい

よろこばしいことだった

 

桜の花が

ことし

なかなか咲かないでいてくれた

おかげといえる

 





 

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