2024年4月11日木曜日

交際ぬきで交際し 協力なしで協力する

 

 

 

紀元前300年代から200年代のひと

というのに

荘子には

卓抜な友情論もある

 

近代の感傷癖に陥らずに

友情のユートピアが

みごとに提示されている

 

子桑戸と孟子反と子琴張の

こんな話*


    「交際ぬきで交際し

協力なしで協力する

そんなやつがいないかなあ

天に昇り

霧の中に遊んで

かぎりない空間を経めぐり

この生を忘れて

無窮の世界に生きる

そんなやつがいないかなあ」

三人は顔を見あわせて

こころが通いあい

そのまま友だちになった

 

子桑戶、孟子反、子琴張相與友,曰:

「孰能相與於无相與,相為於无相為?

孰能登天遊霧,撓挑無極,相忘以生,无所終窮?」

三人相視而笑,莫逆於心,遂相與為友。

 

 

子桑戸が亡くなったあと

葬いの場で

孟子反と子琴張は

琴を弾きながら

 

ああ  桑戸よ

ああ  桑戸よ

きみは真の世界に帰っていったが

ぼくらはなお人間を続けている  ああ

 

嗟來 桑戶乎!

嗟來 桑戶乎!

而已反其真,

而我猶為人 猗!

 

 

と歌っていた

という

 

 

 

 

*『荘子』、大宗師篇第六。福永光司訳に多少の変更を加えた。

 

 




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