紀元前300年代から200年代のひと
というのに
荘子には
卓抜な友情論もある
近代の感傷癖に陥らずに
友情のユートピアが
みごとに提示されている
子桑戸と孟子反と子琴張の
こんな話*
「交際ぬきで交際し
協力なしで協力する
そんなやつがいないかなあ
天に昇り
霧の中に遊んで
かぎりない空間を経めぐり
この生を忘れて
無窮の世界に生きる
そんなやつがいないかなあ」
三人は顔を見あわせて
こころが通いあい
そのまま友だちになった
子桑戶、孟子反、子琴張相與友,曰:
「孰能相與於无相與,相為於无相為?
孰能登天遊霧,撓挑無極,相忘以生,无所終窮?」
三人相視而笑,莫逆於心,遂相與為友。
子桑戸が亡くなったあと
葬いの場で
孟子反と子琴張は
琴を弾きながら
ああ 桑戸よ
ああ 桑戸よ
きみは真の世界に帰っていったが
ぼくらはなお人間を続けている ああ
嗟來 桑戶乎!
嗟來 桑戶乎!
而已反其真,
而我猶為人 猗!
と歌っていた
という
*『荘子』、大宗師篇第六。福永光司訳に多少の変更を加えた。
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