ぐずぐず
いつまでも咲かないでいた桜が
急に咲き出し
アッという間に満開になったものの
天気のほうは
薄曇りや
小雨がちになって
桜の満開の並木を歩いていても
どことなく
うらさびしい
桜には
青空がよく似合う
のに
昨夜も
ライトアップされた夜桜の下を
混雑するなか
まぎれこんで歩いてみていたが
「桜って
センスないよね」
と友だちにしゃべる若い女性がいて
驚かされた
聞き耳を立てると
なかなか咲かないでいたのに
咲き出すと急に満開になってしまったり
こんどは散りはじめたりしてしまう
そういうせわしなさを
「センスない」
と呼んでいるらしい
満開に期待をよせ
心待ちにしていた人間を
ようやくの満開で
しばらくはゆっくりと
楽しませてくれるような気づかいがなくて
「センスない」
ということらしい
その伝でいくと
ようやくの満開時に肌寒くなる気温も
ずいぶん「センスない」し
曇天や小雨も
「センスない」ということに
なるのだろう
桜のことを
まわりにいる知りあいのように
扱っていて
これはこれで
ちょっとおもしろい
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