まァったくもってなァんにも

 

 

桜といっても

多種多様な桜があって

それらの開花を

いちいち

見て歩くのは

それはそれで楽しい

 

けれども

いわゆる「花見」というパターンに嵌まり込むのが

なにより嫌いなので

上野公園で茣蓙ならぬレジャーシートなど敷いて

飲み食いしたり

車座になって幇間ぶりに努めたりするのは

やっぱりどんなに歳をかさねても

できない

 

子どもの頃や

青少年時代にそうした「花見」のようすを見て

いやだな

ああいうの

中高年のああいう姿

ああいう集団性

政治の愚も社会の醜も

なにもかもないことにして

季節季節にバカを演じる……

などと思って

距離をとるようにしたのに

おなじ姿を披露して

いまの若い者たちが「花見」をしているのを見ると

これがニッポンか

ぼくが距離をとった

むかしのオヤジたちのニッポンの

これが永遠！

これが永遠！

と見せつけられているようで

ニッポンとつき合い続けた数十年

まァったくもって

なァんにも変わらなかったように思わせられる

 

まァったくもって

なァんにも