2024年6月13日木曜日

昼顔

 

 


谷崎潤一郎の『細雪』ふうに

たっぷりと

京都ならぬ東京を

生きてみている身としては

今年もまた

あちこちに出かけて

こってりと

桜の花見にもずいぶん時間をかけ

それに続く藤の花や

牡丹も忙しく見歩いてから

今度はバラ

というふうに忙しくまわり続けて

春から夏の入りを

過ごしていく

 

いやいや

そればかりでなく

三社祭も見歩き

ついで

山王祭も終わったかと思えば

今はハナショウブだの

カキツバタだの

アヤメだのの花ざかりで

忙しいこと

このうえない

 

これが済めば

ようやっと楽になるかと思いきや

もう7月には

6日や7日や8日と

入谷の朝顔まつりとなる

すぐに続けて

9日や10日には

浅草のほおずき市となり

東京人や江戸っ子には

まだまだ忙しい

 

くわえて

713日から16日には

もう靖国神社のみたままつりで

ここまで来ると

夏は真っさかりとなる

各地で夏まつりが催される頃となり

いつのまにか

秋まつりに入っていくので

どうやら

酉の市あたりまで

忙しいまま流れ込んでいくのは

毎年のこと

 

まわりでは

ふつうに種蒔きした朝顔は

まだあまり咲いていないようだが

あちらこちらの

鉄柵などに絡まった昼顔は

いまや

満開に近くなっている

 

満開になっても

昼顔

所詮は昼顔

といった

思いが人間にはあるのか

どうか

 

松本たかしは

こんな俳句を作っていた

 

昼顔やますぐな道のさびしさに

 

 

 




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