髪を切ってもらいに行ったが
大きな鏡を前にしては
いろいろ話す気にはいつもなれない
情けないほど小さい声で
ボソボソ話すことになってしまう
美容師や理容師に
話してもしようがないとまでは思わないが
あることをひとつ話すためには
別のあることを知っておいてもらう必要があり
それがいっぱい連鎖してくるうえ
あまり個人的なことを話すわけにもいかないから
ちょっとでも話すとなれば創作っぽくなる
髪を切ってもらうだけの場所で
ごたいそうな創作をしてまで話すなんて
どうみてもおかしいし馬鹿らしい
そのうえはっきりしすぎた声で話せば
隣りの客たちにも聞こえてしまう
他人に聞こえるのがわかっていて話すとなれば
なおさら話は創作になっていくし
誰ひとりにもヘンに受け取られないように
口から出す前にことばを検閲しなければならない
だからどうしても
情けないほど小さい声で
ボソボソ話すことになるわけだが
心配してくれたのか
型通りの社交辞令なのか
今日はお疲れですか?
なんて言われていたりする
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