テーセウスときたら
たいしたもんだ
いまでいう合気道のような
相手の強さをつかって勝つ術に長け
たくみな戦いかたをしてミノタウロスを殺し
クレタのミノス王の娘
アリアドネとパイドラふたりを連れて
アテネに帰国し
やがてギリシア諸都市連合を作り上げたのだから
テーセウスときたら
たいしたもんだ
住んでいた村に突然あらわれた岩に
深く突き刺さっていた剣を
まるで鞘からスルッと抜くように
難なく抜いてわがものとして
後々のアーサー王の逸話に
お話の原形を与えてやりまでして
テーセウスときたら
たいしたもんだ
アテネに帰還した時に
父のアイゲウス王との約束を忘れ
生きてかえった印の白い帆を上げずに
黒い帆のままで沖から陸に向かってしまって
息子が死んだと早合点したアイゲウス王に
絶望のあまり海に身を投げさせてしまったのは
とりかえしのつかない失敗だったものの
アイゲウス王が死んだ海ゆえ
そののちそこがエーゲ海と
永遠に呼ばれるようになったのだから
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