四分の一ぐらいにしか

 

悪事千里というからはどうで終めえは木の空と
覚悟はかねて鴫立ち沢、然し哀りゃあ身に知らぬ
念仏嫌れえな南郷力丸

　　　　　　　　　　『青砥稿花紅彩画』鎌倉稲瀬川の場

 

 

世の中はどんどん悪くなっている

とりわけニッポンは･･･

って

たしかに思うが

 

社会にむけられた

この「どんどん悪くなっている」評は

思い出してみるかぎり

中学生や高校生の頃から言われ続けていて

大学生になった頃には

もう毎日のように

あっちからもこっちからも

聞かされ続けてきたように思う

 

いつからか

日中戦争を起こした頃ほどじゃあ

ないだろう

とか

沖縄戦で日本軍が沖縄人を盾にしたり見捨てたりした頃ほどじゃあ

ないだろう

とか

思うようになって

いつも

話ハンブンに聞くようになったものだが

 

ま

いつのころからか

弁天小僧とか

河内山宗俊なんかを

こころに巣くわっせるようになってからは

話ハンブンどころか

四分の一ぐらいにしか

聞かなくなっちまったけれど