中学1年の時
名簿順で席を決めていった結果
ぼくはいちばん前の席のひとつに座らされたので
どの先生たちも
ぼくの目の前に立って
教科書を持ちながら授業をした
先生たちの
しゃべっている顔が
ぼくからはよく見える
よく
見えすぎた
しゃべっている時の
多賀谷清三先生の唇などは
なぜだか
上唇と下唇が
ぴたぴた
みにゃみにゃと
よく
くっついて
先生が教える社会科の内容より
そっちが
気になってしまう
上唇と下唇の
ぴたぴた
みにゃみにゃした
くっつきが
離れた
と見えると
そこから言葉が出て
声が響く
言葉が切れると
また
上唇と下唇は
ぴたぴた
みにゃみにゃと
くっつく
担任の先生でもあったので
授業以外の時も
先生の話を聞く機会が多かったが
上唇と下唇が
ぴたぴた
みにゃみにゃと
いつも
よく
くっついた
ラップだとかを使う時や
付けては剥がせる
マジックテープみたいなのを使う時
多賀谷清三先生の
上唇と下唇の
ぴたぴた
みにゃみにゃを
今でも思い出してしまう
カエルの腹を
ぽよぽよ
触ってみたり
餡子玉なんかを
ぷよぷよ
押してみたりする時も
やっぱり
思い出してしまう
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