2023年2月22日水曜日

「よしよし、しばしあいさむ」

  


男女の恋愛感情のような

対等な間柄に使われる意味での

「愛する」ということばは

もともと日本語にはなくて

150年ほど前

欧米から翻訳して

むりに作り上げたことば

 

それまでは

「愛す」といえば

上から下の者へや

小さな者や物にむけての

行為や愛情のことを表わしていて

「この虫どもを朝(あした)夕べにあいし給ふ」

(この虫たちを朝夕かわいがりなさる)

と『堤中納言物語』では言うし

「あいして手の裏に据ゑて差し上げ差し下ろし」

(気に入って手のひらにのせて上げたり下げたりし)

と『今昔物語集』では言ったりする

 

もともと

仏教では「愛」は執着だから

「今、草庵をあいするも咎とす」

(今、自分の住む草庵を気にかけ執着するのも罪となることだ)

と『方丈記』では言われるし

『平家物語』でなどは

「よしよし、しばしあいせよ」

(まあよい、しばらく適当にあしらえ)

とさえ使われてしまう

 

古語を知らないひとたちに

使ってみてやろうかしら?

「よしよし、しばしあいさむ」

とか

なんとか

 

 




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