『金剛般若経』にいう
応無所住、而生其心
まさに住するところなくして
しかも
その心を生ずべし
これには逸話がある
中国の禅僧が
この言葉を
茶屋の老婆に教えた
功徳のあるありがたい教えだから
声に出して
おうむしょじゅう、にしょうごしん
と
日ごろ唱え続けなさい
と教えたのだ
老婆はこれを
おおむぎ・こむぎ・にしょう・ごごう
と聞き取って
そのように唱え続けた
そして
それなりの功徳を得た
という
言葉が違っていても
ありがたい教えを
信じ切って唱えるところが
重要なのだ
と
信仰重視の布教派は
この逸話を
評価する
しかし
この逸話の伝えるところは
もっと深い
応無所住、而生其心
まさに住するところなくして
しかも
その心を生ずべし
この意を
老婆の行為自体が
じつに
よく表わしているからだ
『金剛般若経』の文言は
「住するところ」のひとつを表わす
そんな「住するところ」の違いに左右されず
「心を生」じている点にポイントがある
力を発揮するのに
物理的な力のきっかけとなるものに頼らず
念の力だけで世界と渡りあえ
という
魔術の極北の教えがある
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