2023年11月5日日曜日

ステーキの後の角煮や赤ワイン煮込みのシチュー

 

 

物語に触れたくないときが

けっこう

いっぱいある

 

ステーキを食べたあとで

角煮とか

赤ワイン煮込みのシチューとか

出されるような気分

 

小説であれ

映画であれ

ドラマであれ

小さなお話であれ

なにか

ストーリーのあるものに

もう今は

絡みとられたくない

入り込みたくない

そんな気分

 

じつは

三十年ほど前から

はげしく

はげしく

そんな気分になっていて

だれかの人生にまつわるお話も

「今日こんなことがあったんだよ」的な

ちょっとしたお話も

ステーキのあとの

角煮や

赤ワイン煮込みのシチュー

 

それでいて

物語の最たるものである

歴史なら

どんなものでも

スポンジが水を吸うように

いくらでも

ごくごく飲み干さんばかりの

奇妙な気分

 

どうやら

ひとが創作したものに

拒否反応が

ひどくなっているらしい

ひとのアタマが考え出そうとした

構造とか

統一とか

効果とか

そんなものはどれも

ステーキのあとの

角煮や

赤ワイン煮込みのシチュー

 

 




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