なので

 

『サンクチュアリ』で

フォークナーが書いていた

 

トウモロコシの穂軸を

女性器に突っ込む暴行が

行なわれたことをめぐっての

話の

あたりで

 

「トウモロコシの穂軸が使われていたってのになあ。

この町の連中ってのは、どんな人間なんだろうなあ。

ええ？　あんたたちを怒らせるにゃあ、なにをしたらいいんだい？」

 

フォークナーがつねに扱っていたのは

この地上の人界での

価値観の

圧倒的な共有不可能性

ということだった

 

価値観どころか

感性や

感受性の共有や

事実や

物語の伝達ということの

圧倒的な不可能性

ということ

 

怒りも

憤りも

恐れも

まったく

分かちあっては

もらえない

 

さあ

本当に耐えがたい

こころが張り裂けるような

きみの

怒りや憤りや

恐れや

よろこびや

かなしみ

ここに出して見せてごらんよ

 

顔ひとつ変えずに

きれいに

無視してみてあげるから

 

そんなことより

さっきSNSに出した

スイーツの写真にどのくらい「いいね」が来ているか

明日のランチで

特製すじこ載せ特上ビーフ丼か

豪華アジアンプレート（極上シャーベット付き）の

どっちにするか

とか

のほうが

ぜんぜん大事なユカちゃんで～す

なので

 

なので