遠さが
また
近づいてきて
城跡が
涼しい夢の
高原のように
まぢか
齧りかけの
固焼きパンを
ちぎって口に入れながら
嗅ぎ直す
幼稚園時代の
最初の担任の先生の
つけていた香水
遠さが
また
近づいてきて
高原が
夢しい涼の
城跡のように
まぢか
殺したての
百合子の乳房を
ちぎって口に入れながら
嗅ぎ直す
内戦時代の
最初の父の娼婦通いの
残り香の数々
遠さが
また
近づいてきて
光源が
床椎亮の
血の跡のように
まぢか
直したての
憲法の新条文を
ちぎって千鳥が淵に捨てながら
嗅ぎ直す
昭和天皇の
御研究の成果を伝える
古いグラビア雑誌のにおい
遠さが
また
近づ井て忌て
城痕が
鈴しい嫁の
巧言のように
ま血か
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