2014年8月26日火曜日

テレビですか?




テレビですか?

むかし持っていました。
昭和40年代製のもの。
外国に帰国する人から貰ったもの。

なんとか見れてましたよ。
上下にギザギザ線が出たり
そんな線が増えて
画面を上下に下上に忙しく走るようになっても
だいたいの様子はわかりますからね。
テレビなんて
だいたいのものを
だいたいの気持ちで
だいたいの注意力で
だいたい見ておけばいいでしょ?
時どき映らなくなったけど、
音は聞こえてました。
テレビラジオっていう感じ。
まわりが木枠だった時代ですしね。

それだって、
見る時間はほとんどなかった。
朝は見る暇がないし
日中はいないし
夜も終電近くで帰ります。
休みの日に
特別番組を見るぐらいなものでした。
それに
テレビを点けておかないといけないような
関わりかたではなかった。
同居者とは。
じぶんたち自身のほうが
よっぽど番組そのものだったのです。
連続ドラマだったのです。

ええ。
30代までは夏も冬も
ほとんど海外で過ごしました。
20代は一年の半分は海外でした。
むこうではよくテレビを見ました。
掘り下げの足りないようなテレビドラマが
外国語の勉強にはいいんです。
ヨーロッパだと番組の質もいいし
なにより品がいい。
日本に帰ってひさしぶりにテレビを見ると
あ、
レベルの低いところに戻ってきたな…
思わされましたね。
本当に。
大声出したり
叩いたり
わめいたり
なにかというとドタバタ。
あるいは型にはまった感情共有。
ここぞというところでメソメソ。
でも涙をこらえて
キッと見せるという
これも定型。
ぼくらはわたしたちはきみは
という人称が多用される
全国民的励ましポップス。
トランジットで降りた韓国の空港なんかで
待合室で点いているテレビを見る時も
あ、
レベルの低いのやってるんだ、ここ…
思わされましたね。
東アジアって
こういうことか、って。
東アジア蔑視じゃないんですよ。
じぶんだってアジア人なんだから。
でも
つまらないCM作るのにも
うるさくゴチャゴチャしてて品がない。
まじめな放送でも
法事の服装じゃあるまいし
色どりがわびしいし
色あわせが下手だし
顔にも身ぶりにも精彩がない。
東アジアって
こういうことか、って。

テレビの話でしたよね?

そんな頃のことも
もう
ひと昔
ふた昔前の話
いろいろなことを
問わず語りに話し続けそうだけど
注意しなきゃね。
まるでテレビみたいになっちゃいますからね。

今ですか?

テレビはないですよ。
でも
ご存じのとおり
愛人がいっぱいおりますから
恋人がいっぱいおりますから
好人がいっぱいおりますから
寄らせてもらって
そこのテレビ見たり
しますよ。
テレビの話がどうのこうのというより
それぞれの人たちとの話が
込み入ってて
込み入ってて
テレビドラマなんぞより
よっぽど。
昔とおなじで
じぶんたち自身のほうが
よっぽど番組そのものです。
連続ドラマです。
だから
テレビの話をしようとすると
やっぱり
テレビの話なんかしてる暇はないなあと
なりますね。

そういうものでしょ?
テレビって。
どうしたって
主役ではありえないもの。
点けっぱなしで
なんか
時どきワアワアいってるなあ
程度のもの。
蕎麦屋で汁なんか啜っている時の
チンケなBGMというか
環境音楽の変種みたいな
もの。





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