2014年10月26日日曜日

感傷詩人*




感傷的な 詩を 書きたい
夢と 希望と 愛と 死の
夢と 希望と 愛と 死の
感傷的な 詩を 書きたい
感傷詩人と 呼ばれたい
あいつの 書くのは 三文詩
あまったるい お涙ちょうだいの
レベルの 低い 三文詩
そう 呼ばれたい ぼくの詩は
涙に近い 暮らしの ひとの
涙に もっとも 近い詩を
ぼくは 書きたい むずかしい
学者もどきの 象徴詩
そうは させたくない ぼくの
詩は どこまでも あまあまで
そうして お涙ちょうだいで
うとまれ きらわれ さげすまれ
こころを ひらく だれひとり
持たぬ つまらぬ ひとびとの
つまらぬ 感傷詩で ありたい
つまらぬ 感傷詩で ありたい



*1993年作を改作




希望*  



できることなら
即興のうたうたいつつ
とどまることなく旅したい
人生のくらさあじけなさ
かなしさむいみさざんこくさ
そうしたすべてをうたにして
あくまばらいをしてやりたい
あくまはいつもはらわれて
こんどはかならず守護神と
なってハッピーエンドへと
どのひとのつらい人生も
むかうものだとおしえたい
町から町へ行くぼくは
ことばの国から来たことば
ことばはちからと知らせたい
希望はあると知らせたい


*1993年作




わたくしはまたこの畔に戻ってこよう





(実体の希薄な馬鹿蒙昧のまわりに
(肉がずどずどくっ付いたような連中ばかりの人界で生きるのは
(ほんとうは
(ほんとうに
(とんでもなくむずかしい
(唯一の生き抜け方は
(なにひとつ本気には受け止めないこと
(誰もかれもが流されているだけで
(誰もかれもがまわりに合わせようとしているだけだから
(ほんとうに物を考えているやつなんかひとりもいないと知って
(それに、物を考えるのと行動するのとはぜんぜん違うことだと
(くりかえしくりかえし確認もして
(それ相応に
(そうですねそうですかホゥそうなんですかヘェそうですか…
(と対応していればいい
(社会なんてそんな曖昧でいいかげんな空間
(国家なんてさらに物語をごたごたブン並べたテーマパーク
(どうひっくり返そうが
歴史の転換点!
(で終わる
(いかに次の維新をでっち上げるか
(いかに次の戦争を準備するか
(いかに次のニュー大和朝廷を拵えるか
(ただそれだけのこと
なにもかにもがくだらないくだらないくだらないくだらない
(くだらないくだらないくだらないくだらないくだらないくだらない
(くだらないくだらないくだらないくだらないくだらないくだらない
(くだらないくだらないくだらないくだらないくだらないくだらない
(くだらないくだらないくだらないくだらないくだらないくだらない
(くだらないくだらないくだらないくだらないくだらないくだらない
(くだらないくだらないくだらないくだらないくだらないくだらないのだ
(〔ワタクシニハ同じ表現をやたらと並べたがる癖があるナ… わかってるよ わかってやってるんだ、なにもかも…〕


縹渺たる
湖面を
音もなく行く舟
あれに
もし乗って行けたら
とも思うが
今ここにいる
畔の喜び
そういうものもあり
わたくしは
これに留まる
白鳥が
一羽
線を引いて
遠ざかっていくが
また戻ってくるだろう
林に行き
貧村の寂しい畑をめぐり
山のふもとの
竹林の静寂に耳を洗って
わたくしはまた
この畔に
戻ってこよう




秋になりましたね




秋になりましたね
すっかり秋です
ほんとに秋です
秋はお好きですか
お好きでしょう?
そう見えますよ
そう感じる
あなたには深みがあるから
深いものや
しっとりしたものを
よくご理解していらっしゃいそうだから
秋がお似合ですよ
落ち着いていて
色どり豊かで
静かで
成熟したところがあって
あなた…
ほんとに
ええ、ほんとに


(と言っておけば
(いいかな
(通俗な感性の人だからな
(秋秋秋って
(春夏秋冬どれにも
(良さも悪さもあるじゃないかさ
(どの季節にも言ってきたものさ
(春っていいですね
(夏って最高ですね
(秋はほんとにいいですね
(冬もキリッとしますね
(で、たまたま
(いまは秋というだけのこと
(あゝこれが大人ってものだ
(秋がいいといっておけば
(それで時間が平穏に経つ相手
(秋が悪いってわけじゃないが
(こんな紋切型で済んでいってしまう
(これだけで済ましていってしまう
(たったの一度も本当には出会わずに
(―いいですね
(―ええ、いいですね
(―秋ですね
(―ほんと、秋ですね
(これで済まし続けていってしまう
(済ましていった先にはなにがあるのか
(なにがあるのか
(なにもないのだ
(老いと死があるばかりで
(秋どころか冬枯れの
(お骨拾いがあるばかり…



けっきょくゼロに




港北の南の
西から
東には向かわずに
やや東南に逸れ
そこからは
ずん
ずん
北を目指したのだが
あきらかに
南西側にずれて進んでしまったようで
思いきって
北南に向かい直すか
西東西のほうを選ぶか
ちょっと
どころかずいぶん思案したが
東西南北どれにも惹かれ
けっきょくゼロに
また
戻っている
始末なんですよ



2014年10月25日土曜日

どうでもいいよな




なにかと
かにかと
なんやかやと
ちこちこ
ぶつぶつ
しこしこ
どっさり
もっそり
ごっそり

情報だとか
ニュースとか
お知らせだとか
手紙とか
メールだとかが
あとから
あとから
来る来る時代

詩みたいな
ちょっとした
作りものなど
ちっちゃなものが
いいわいな

身辺雑記の
たわいもない
脱力系の
ホッとする
どうでもいいよな
ものが
いいわい





2014年10月23日木曜日

聖母水村はなこへの夕べの祈り 全編24章



(1994年版改訂2014年版)




ろくがくのほていあおいにきすをしたことがあるかい
      『聖母水村はなこへの夕べの祈り』8・15





水村はなことあなたをよびたいの
かわいてるの、ぼく
せめてはなまえの水のゆたかさ
せめてはあなたを水と名づけて
いきのびたいの、ぼく
たすけてよう、みずむらはなこ
よばせてよう、みずむらはなこ
水村はなことあなたをよびたいの
水村はなことあなたを
あなたを




きららくらら
きららくらら
きららくららくらら
くらら
くらら

くらら




水からうまれたくらら
ひたひたぬれて
髪ぬれて
背をつつつうとすべりおちる水滴
みていたのさ、ずうっと
なんてきみはくらら
たんてきみわく、らら
ゆうぐれです
ゆうぐれ
くらあく
くらあく
おいで、よる
くららまだまだ
ぬれくらら
ら、 ら




くららきみの
はだかきみの
みてるはなこ
あそこはなこ




くららの、
くららなおっぱい
みて、ぽよよんと
うまれたて
おみずぽたぽた
くちびるるるる
きて、みて、だいて、
ね、はなこ
ぽよよんと
はだこしよう
くららくららに
はだこしよう
おみずるおみず
くちびるるくち
るるくちくちくち
びるるる、るるる
るよよんと
ぱここしよう
らよよんと
みゅここしよう
みゅここ、みくぉくぉ
りゅくぉくぉ、きゅくぉくぉ
くらるるる
るるるこ
るここしよう
ね、はなこ




みているのね、はだかの
せなか
つかれて
ぬれたまま
かわきにびっしょり
ぬれたまま

ないているのね、じかんの
ほそい
かれくさ
もてあそんで
おわりだけをのぞんで
ふるえて

しんでいるのね、いちじく
むかず
まじわって
すすりすぎて
いるかのむれにとおく
はぐれて

まっているのね、みるくを
ふかく
きたえて
ころころと
あるでばらんにはなつ
ぬくもり
しっているのね、わたしの
くるみ
あかるみ
みずとつち
ふさふさとたちあがる
うちゅう

そんなふうなあなた
みている
どんなふうにあなたが
おぼえる
しんでいい、よ
わたし、あなた
いきかえってただいま
かげのなかにとつぜん
いいよ、あなた
わたしあなた
わたしゃなた
わたしゃーた

わたしゃーた




みずるみーよ
にきるにみーよ
ちょろにきえ
なはちょろみーよ

にはむさったらにーよ
りーよ
りょきゃんり
えいるみさらにーよ

るごっそっむーよ
れりれらるーよ
いよるがっさーにょ
にーよみりゃ
りーにょむりゃ

れいれいりょ
れいれいりゃ
れいれいりょ
れいれいりゃ




ひとりでみずを
てんにおちていってしまわないようにみずを
てんにおちていっていつも もどってこないものたちにしたいようにみずを そう
あのはるのひのごごのしろつめくさ、みずを
いかないでほんとうにおねがいほんとうに、みずを
おさえていたの、みずを
りょうてひろげてむねをつけて、みずを
くらいあぶらのようなすいめんをすべっていったね、ほていあおい
つきのひかりさくさく
さいていたはなまくまく
あたしのうんめいって、これ? ついに
わかったきがしたけどよるのくらいくらいみずのうえ
ほていあおいよりあおいうんめい
あたしをおきざりにしてかないでうんめい
ろくがつのほていあおいにきすをしたことがあるかい むかし
あわびしてたころくりかえしくりかえしみたゆめ
はかないのはいつもえいえんのほうよね とおい
てらにいくのね やまとうみのかなた
さらにかなた すべての
ものたちにようやくなみだするすべもおぼえて
しみこんでいくあたしあおいうんめい
みずにさしいるつきのひかりよりあおいあおいうんめい
みずをおさえていたあたしのあおいうんめいのおはなし、ろくがつ
けっこんしようよじだいさくごにじゅんすいにあいして
しろいどれすしろいこころうんめいはあおく
しろいかみさまのまえであさのばらのほおをおちるなみだ
やさしいくちづけをしてね、てのこうになんども
そのむかしあわびだったころひめていたゆめのように
そのむかしおんなだったころすてたゆめのように




さがせといわれてたびにでた
くろいばらのしみたわきばら
へめぐったかずかずのこうやよくや
ふいていただけのかぜ
ながれていただけのたいが

聖母水村はなこに全霊をもって帰依し奉る
くろいばらのしみたわきばら
やわらかなはだのからだへひとすじにわれを
みちびきたまえ、みちをしめしたまえ
くろいばら、やわらかなはだ、わきばらへ
あゝ、ふいていただけのかぜ
ながれていただけのたいが
へめぐったかずかずのこうやよくや
わきばらであるだけのわきばら
やわらかなだけのはだ

さがせといわれてたびにでた
くろいばらのしみたわきばら
もとめつづけくらくらのこころで
ひたすら祈り帰依する
聖母水村はなこに全霊をもって帰依し奉る



10

いきることはやはりしんわ
ぼくもきみもかれもかみで
そらをとべて
すがただってけせる
もうやめよう、にんげんのふり
もうやめよう、げんじつのふり



11

おがわのおもてがゆうひをあびて
いつかほんとうのじんせいがはじまる
かわのほとりでこんやくをするのよ
ひとしきりかわのみずおとはたかまれ

ひとりでいきていくじきのおわりは
ひとりでいるすべをしるとき
みずくさよりもうつくしいかみで
ひとりゆうぐれをしあげる

かなしさのなかをみずはながれる
よろこびはどこまでいくちからもつか
しっているかい、あいしたやまよはやしよ
みずをおもいでとしてしずまれよ、こころ

きょうもゆうぐれていくわたくし
むしのなくむらさきのかわべり
いつかほんとうのじんせいがはじまる
ひとりでいるすべをしるとき



12

しゃしんをとってなにになるの
とったひととられたひとはきえて
ただしゃしんだけがのこる

いつきてもこうげんのなつは
このはなとあのはなでいっぱい
なつごとなつごとのえいえん

あいしてよつよくいまだけ
あしたはかぜになるから
ながれながれていくから

ほんとうはわたしこわいの
しゃしんとってたくさん
わたしはいまだけのはななの

いつきてもこうげんのなつは
このはなとあのはなでいっぱい
わたしはいまだけのはななの

なつごとなつごとのえいえん
わたしにはかかわりはなくて
このはなとあのはなでいっぱい
このはなとあのはなでいっぱい



13

さいわいなるかな
よびかけるあいてあるもの
あなたのたましいのみじめさ
ありありみつめてもらえて

さいわいなるかな
みつめるあいてあるもの
あなたのまなざしのにごりを
ふかくかなしんでもらえて

さいわいなるかな
じさつしたともをもつもの
いきているというげんそう
すこしつよくもちえて

さいわいなるかな
すべてをあきらめたひと
うみやまをかわをそらを
やっとみるすべがわかる



14

こうふく、ふこう、こうふく
おなじことさというあなたのかたに、いま
てんのみつかいのようなあおすじあげは
とまろうとしてとまらず
きのこずえのたかみへ
きえていってしまって、おもいではかぜのように
こころからうずをまいてうきでる
てんのみつかいのあげは
こうふく、ふこう、こうふく
おなじことさとあなたいうから
にげていってしまって、おもいでもかぜのように
こころからうずをまいてきえさる
てんのみつかいのわたしも
こうふく、ふこう、こうふく
おなじことさとあなたいうから
とまろうとしてとまらず
さっていってしまって、おもいでもかぜのように
うずをまいてきえさる



15

くららくららとよびかける
ぼくのかたわらをしすべきひとびとのむれ
とおくではまたげんばくがおちたよ
とおくではまたさつりくがはじまる

にんげんやってあなたなんねん?
かんがえないわけにはいかないとおいひげき
ぼくだってずっとこのくにのほしゅうで
てかせくびかせあしかせのさいげつ

にんげんやってあなたなんねん?
どうせしぬんだからなんていうなよ
たたかいはとめなければならず
うみやまはまもらねばならない

くららくららとよびかける
ぼくのなんとちからなきおこない
にげてるわけじゃないんだ
わすれたわけじゃないんだ

にんげんやってあなたなんねん?
かんがえないわけにはいかないまもなくのひげき
けつだんはいつもことばなくなされる
くららくららとよびかけるあいだに



16

つかれ
すぎているのよ、たぶん
いのちのすばらしさ
くちがさけても
いえないなんて
あせ
うで、かたのおもさ
せすじのこわばり
めのおくがいたくて
うまくまとまらないかみのけ

いのちをさんびするのは
おかねもちのおくさんたち
おっとはだいきぎょう
むすこはけいえいこんさるたんと
いのちのすばらしさをせかいに
つたえなきゃつたえなきゃ
まあいろんなことはあるけど
じんせいはすばらしいものだわ、って

はんろんしないしあたし
なにもできないしあたし
つかれすぎているたぶん
とおいくににたくさんのしたい
あとからあとからばくだんみさいる
あたしがきょうかわなかったべんとう
もえるごみになっていくあかるいあした
しんでいくしんでいくかわれなかった
べんとうたべられなかったひさいちのこども

つかれすぎてるのあたし
たすけられなくてごめん
ごめんなさいごめんほんとに
たすけたかったのあなたを
こんなはずじゃなかった
つかれてなかったころは
おもっていたまいにち
あたしひとりでもやれると
みさいるばくだんなくして
たべものこうへいにわけて
おもっていたわかいひ
しんじていたじんるい

あたしつかれてふらふら
てれびつけてぼんやり
あなたのことみている
あなたひどくやせてて
あなたたつちからなくて
あなたおなかふくれて
しのまえのかおのきれいさ
めのなんとうつくしいこと

あなたがしんでしずかに
なおあけるあさきぼうと
よぶひとがいるそれを
つかれにがいこころで
ノーというわあたしは
ひていしてもひていしてもひていしても
たりない
ノーというわあたし
あなたをたすけられなくてあたし
みてるしかなかった
あなたからとおくはなれて
せまいせまいあたしのつかれのなかで
あたしのわびしいむりょくさみじめさのなかで
みてるしかなかった
ひていしてもひていしてもひていしても
たりない
じんるい
ノーというわあたし
ノーというわじんるい



17

かみをまちのぞむ
いっぽんのくさ
いちりんのはな
かぜふけば
ゆれ
あめふれば
ぬれ

すがたどうでもいいよ
こころどうでもいいよ
かぎりなく
かえっておいで
まっているのは
かみ
かえっておいで
うらぶれて
つかれきって
こころくちて



18

それでよい
あなたはそれでよい
あなたはそうであればよい
あなたはそうありつづければよい
あなたはそう
そうそうあれ、これからも
そうあれ、かぎりなく
そうあれ
そうあれ



19

ゆうべのいのり
かぐわしき
ゆめのはなばな
みなみのくにのあかるさ
きたのくにのしずけさ
どうぶつのこらとあそべよ
ながれにほしのちるまで

ちからのすてきなやさしさ
よるのかがやきをいっぱい
ひるのせいじゃくにだかれて
いかりのおちつきをたもつ
うみのちいささをくすぐり
ちせいのかるささわさわ
あついみるくのすがすがしさ

ゆうべのいのり
ゆめ、よろこび、やさしさ
やっぱりいきていこうよ
うつくしいものにひかれて
きよらかなもののほうへ
あんいけいはくふらふら
らふらふ、はひはひ、ひほひほ

ゆうべのいのり
ほしへのあいじょうはたりているか
うみへのれんあいはさめていないか
みるものきくものくらくくらく
いろづけるのうのあかをおとしなさい
おもうちから、おもいえがくちから
まだまだてつかずのむげんのうちゅう



20

みずからうまれたくらら
みずをはなれず
みずにもどり
またうまれ

くちつけるとき
くららのちぶさ
わきばら
せのふるえ
うなじすべらか
みみのこうこつ
はなのこりこり
ゆびさきつめたく
ふとももふとく
みどりなすちいさなもり
かげうつくしき
たにのするどさ

みず、くらら
聖母はなこの御使いくらら
からだひらいて
ひとびとを
うるおすくらら
みずくらら

もとめつづけてくらくらのこころよ
くららせよ
みずくらら
みずくららせよ
みずくらら

くらら
みずくらら

くらら



21

わたしのなかでひとり
わたしがさびしんでいるとき
聖母水村はなこさま
きてください、すくいに
わたしであることのでぐちのなさ
わたしであることのあじけのなさ
わたしはわたしのくらいぬまのよどみ
わたしはわたしのさびついたじょうまえ

わたしのなかへひとり
わたしがまよいいっていくとき
聖母水村はなこさま
きてください、すくいに
わたしであることのやるせなさ
わたしであることのほうとのなさ
わたしであることのいんうつなちかしつ
わたしはわたしのあんうつなゆうれい

わたしはわたしのこころなんかいらない
わたしはわたしのじんせいもいらない
どこまでいけばうんめいのはてにでるの
おわりなくかこいこまれいるこひつじ
しゃかいにかぎりなくまけていくわたし
ひびおもくくずおれていくわたし

わたしわたししいられてるわたし
わたしわたしけんおしてるわたし
いつのひか
わたしのいのちはてるとき
はっきりとつよく、つよく
わたしをだいてください
わたしがおわるそのとき
きてください、すくいに
わたしがわたしおえるそのとき
わたし、わたしあなたに
わたしわたす、あなたに
わたし、わたしわたして
わたし、わたしおえる
きてください、すくいに
だいて、つよく、つよく
わたしおわるそのとき
わたしわたすそのとき



22

くちていく
ねがいの
かるさ
ふわふわ
ぱらぱら
さわにふる
ゆきは
あわゆき
くもうすく
そらのあお
きれめにみえて
ただひとつ
つよきひかりの
ほしたかき
へいげんに
ふくかぜの
やわらかさ
おもいだす
はるのひの
とおいひの
おがわのおとの
せいれつな
おと
くれる
はるのひ
あのかわの
ほとりに
ひとり
きいていた
みずのおと
はっきりと
やわらかく
あたたかく
るるると
くるるると
まさしくくらら
かたちとる
いぜんのくらら
るるると
くらら
ると、くらら
えいえんに
くららなくらら
よろこびになく
くちていく
ねがいのはてに
なおくらら
るるるとくらら
なおくらら
なおくらら



23

いたりつき
たっせいし
へんしん
おわり
きゅうそく
はて
ついに
かたってもよい
ことばをかたってもよい
むくわれず
れいばいとして
くちよせとして
ことばをただうけてかきしるす
くぎょうしゃ、おまえ
かたってもよい
からだはひへいし
ひるによるをついで
じんせいかしぐままに
ぼうきゃくし
ぼうきゃくされ
あるくかげ
かきしるすししゃ
くぎょうしゃ、おまえ
なんのためとも
だれへむけてとも
すでにいわぬ
くぎょうしゃ、おまえ
ただかくだけのひと
しがそのてをとめ
そのめをつぶし
そのあたまをこうちょくさせる
そのときまで
ただかくひと、おまえ
かたってもよい
くぎょうの
へんしんの
このみちのり
だれにむけられてもおらず
なんのためでもない
ことばすることばのぎょう
そのくるしみを
そのよろこびを
かたってもよい
ここまできたからには
ここまできたからには



24

よるがふかまりかなしみは
そこしれない
かがやきをはっしはじめるから
やわらかく
しんでいこうよ、みんな
あかりを
うつくしくたいせつなことばの
かきしるされたほんにおしばなして
おいつのひかしんじゅの
ほおをもつしょうねんたち
みつけるめのはるのわかばかがやき
もえあがるほん
あかのぺーじもあおのぺーじも
みえないものへとかたちをとっていく
あつくうすくふるえる
がらすのまくがふるふる
まだみぬほしのかずかず
いっしゅんにすくわれて

やわらかく
しんでいこうよ、みんな
おわったやくめゆうぐれ
あたたかいよるはほしょうされて
いのられたことばひとつひとつ
たいせつに
もっともくらいちほうへとまかれて
ほしとなるじかん