1000行詩走
1996年版制作の後、 失われていった多くのものたちへの鎮魂のために
第十部:822行より931行まで
ジャマイカの足首に
蜂須賀小六のアルファロメオを電話炊いて
づるるんづのもうそろそろ
もうそろそろ、参宮橋、はしがみ書店に手袋わすれて、もう、
そろそろ八年、八年、こども生まれてたら八、歳か、はち、さ、い
殺してよかったねとはち子うれしそうにはち男に、
また物語の陥穽が
めらめらめらめらめらめらめら
ラメの
というあさい芸で息つぎをしていてはいけない つくづく
思うのです
ラメの
と書くのはでもけっこう快感で
ラメの
くりかえしちゃう
股
離陸するクリネックス流し台という空言が海で響く平原の断崖に
セルロイドの枠のサングラス落して禿げた
純白の新宿三丁目
ほんだわらシューズがづるんぴっとしても
終始一貫二三棺、棺、棺、木+官、分解すると消滅する
おぞましさも味盲には通じない季節
長姉から愛の便りがごっとりと流れまして
朽ち縄で魔羅しばって
貫入マンゴずるんごぎんごギギ
うギギうギギ、法則させて迂回しますが
急旋回しますが
急転調しますが
いつもじぶんを扱いかねる
冬も終わろうというのに
川のおもては鈍くさびしい
だれも釣りをしていないのか
ほんとうに過去は戻らないのか
むかしの恋を長いこと忘れていたが
きょう急にまたあの人に会いたい
こころの氷が溶けていくようだ
どんなかたちにも到ろうとせず
ただ会うということだけをしたい
感情をどこまで流れるままにするか
どこまで放っておいたらよいか
むずかしいがしだいに平衡はとれる
川のおもての鈍くさびしい
さまを見ていて終わる氷期があった
だれも釣りをしていないのか
風も鈍い色もさびしさも
きょうはひとりで川より受ける
どこへこころを遣るべきだろう
溶けた氷のゆくすえ
変奏1 扱いかねる
冬も終わろうという
川のおもて
だれも いない
過去
むかしの恋
に会いたい
こころ が溶けて
かたち せず
ただ ということ
感情 どこ
どこ
しだいに
鈍くさびしい
終わる氷期
いないのか
風も さびしさ
きょうはひとりで川よ
こころ
ゆく
変奏2 いつも二十日烏賊煉る時分を
終わ蠟樋ウフュな野に
さび誣イオモ手野川鰐ぶくぶくぶく
だ檸檬過去捺していないのか
本島に釣りは戻らないのか
凶の子、イオ長彦とは擦れていたが
むかし灸にあの陰の股に、ア、いたい
ロココの氷が溶けていくだよう
どんなかたたち板に張りつけるの
ただ「アゥ…」という子とだけしたい
感情小床まで流れるママニス・ルカ
ド独楽デフォーてオイ!鱈酔いか
むかしがしだいに平衡る
川ノ尾も手の鈍草、ビシィ!
秋刀魚を未定て畢る氷飢餓あった
だれも釣りを持ってないのか
鈍風もさビシ砂色藻
凶寄川ハイハイ、火取りで受ける
どこへこころころべきべきべき
溶け蛸檻のみずの湯玖珠へ
湯玖珠へ、碧翔経て
青熊山系の中をほそぼそと流れる
かな蛇のようにほそぼそと流れる
山道辿って、秋なら紅葉狂わんばかりの
信念渓谷まで回り道さえして、
嬢が原、脱穀村、杉戸尾、三津塚新地、
尾根に出れば灰帖山脈や出面等山地までたぶん
よく望める蛸無、景勝出季破高原、
過ぎればもう珠紺出等巣村落も近く
年じゅう薄霧して狩樅木の森や林の底知れぬ
静寂、たましいは坐れ、たましいは坐れと
旅人の背は見えぬ手にひかれてゆるりゆるり
遅くなる歩みのはてに、おんななら妊娠し
おとこなら角を生やすという魂溜泉あおく、
ひとりでいれば恐くない山道もっともっと
分け入っておいき、おいき、おいきと
亡くなったじいちゃんもばあちゃんも
並んで手をふっている狂い沢まで
狂い沢まで
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