2014年10月4日土曜日

津軽海峡ヒンデミット景色 2 (2014年版)

1000行詩走
1996年版制作の後、失われていった多くのものたちへの鎮魂のために




第二部:101行より202行まで



むしろ、
〔無限テキストで、解釈に
〔まどう、そのために、
〔世界、世間、外界を利用、
〔するのがではナイカ、
〔読者ヨ、それでイいノか、
〔わルいのか、読者ヨ、
は、あなたのでも、ワタシのでも、
〔孤立無援であるナ、
〔ナ、読者ヨ。
津軽三味線四重奏曲全集1 
34567
ぜんぶ聴いてから
竜飛岬行こうと決めてたので
発ったの
上野発の夜行列車
降りた時から
パナソニックのCDプレーヤー
まッシュで
ヒンデミットの交響曲『世界の調和』がんがん
かけて(もちろんわてにしか
聴こえへんけど
ほんでも
やっぱ
世界がヒンデミットしちゃってルようで
えがったよ、んだ、えがった、えがった、えがったよ)
夜行列車の中で
カーるとポッきーを分けてくれた
小室さよこさんと
わかれづラくて
あおもルー、あおもルーと
駅員さんが言う声を聞きながら
「もう少しいっしょにいたいのであります」
「あたくしも。次の転生マで待つなんて、酷ですわ。いっそのこと…」
「いっそのこと…」
「あの…、ね…、そうしマしょうよ」
「そうですね。そうしマしょう。やはり、そういうもんだと思うし、そうすルのが、ここは当然でしょうし」
「ああ、よかったわ。違うお考えだったら、どうしようかと思いマしたの」
「ぼくもですよ。ここで、この瞬間、運命は変わルことになルのですね」
「そう、生マれ変わルのですわ」
「あたラしいぼくが生マれ、あたラしいあなたが生マれ、…」
「世界ぜんたいが刷新されルのですわ」
あとは小説にマかせル、
という責任分担、責任転嫁ができルのがいいとこで
どの時代どのジャンルでも
主流を逸れてればもっともっと自由
小室さよこさんを以来
さよこ
おさよ
さよ
さよちゃん
なんて呼ぶようになル過程も
小説家にまかせておけばいいので
ese詩人はサッと青森駅のヒンデミットへ
もどル
ふりだけでもどル
もどれル
つもりがほんとになル制度樹立、ここ、
記念樹植えて
〔制度樹立はしかし常に反制度派を生む。
〔作者は分裂を内部に生き続ける者であり、
〔作品はけっしてラカン的な意味での鏡像では
〔ありえない。
旅の途中だってのにめんどくさいなァ、だいたい、
まッシュ(PanasonicCDプレーヤー)の電池なくなっちゃうよ
ヒンデミット切れ
しちゃうよ
交響曲『世界の調和』の次にはちゃあんと
交響曲『画家まチス』と組曲『いとも気高き
幻想』聴こうと思ってたんだから          
〔でも、いいの?
〔飽きたら?
〔それじゃ、飽きるかもよ。
〔そしたら?
〔雪の青森駅でヒンデミット倦怠症引き起こし、急逝。
〔享年93。なんて、ちょっとは
〔かっこいいけどね、オスカル・パニッツァみたいでね。
〔でも、悲惨だなあ。わびしいなあ。
〔現実的に言って、寒いよなあ。
〔死ぬ時は、非現実的にいきたいものじゃないの?

…ご心配なく。
ちゃんとね、
持って来てルんだ。
インバるのさ、                    おい、閉じてない
ショスタコーヴィチ全集。            括弧あるけど、 
『レニングラード』なんて             いいの? 
ワイアットアープの
拳銃よりサッと取り出せル。
いちおう、ベルグるントの演奏のも   ―いいと思うよ。
そう、ボーンマス交響楽団の       使い道、
あれ、EMIのあれ、                あると思う…
すごい緊張感のあれ、
あれも持ってきてルから完璧
完完璧璧、ペキッ
ペキッ、ペキッ、ペキッ、
ペキッ、


「ところで、お名前は?」




        (以下、次号…)






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