2016年11月6日日曜日

これもかなで書いておこう



複雑なことはいくらでも書けるから
心の綾に
綾をからませて
錯綜した彩にしていくのも
いくらでもできるから

わざと複雑なことを書かないように
分かち書きに

というところに
散文とちがう
領野が
ふいに現われてくる

「幾らでも」
漢字で書けるところを
「いくらでも」
かなで書き
漢文調も混ぜられるところを
論文調でも通せるところを
わざと
ぼんやりした
あいまい口調で
または
はすっぱで
軽薄な
今ふう口調で

しかし
庭石を置いていくように
ぽつっ
ぽつっ
っと配していく
言葉

…あ、
これもかなで書いておこう

ことば



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