駿河昌樹 詩抄
気ままな詩選を自分の愉しみのために。制作年代も意図も問わず、まちまちに。
2016年11月23日水曜日
与えられている指たちを
紅茶を飲んでいるあいだに
気温は下がったらしい
カフェからモンブランを
見上げていた時にも
こんな急な低下があり
空は輝かしく青いのに
ふいの貴人の
訪れのようなものを
腰の奥の鈍い
どこか痛みに似た
感覚から知った
冷えたわけでもない
紅茶をテーブルに置いたまゝ
まだ生きている指先を
じぶんのものとして
数本触ってみる
まだ生きている私に
まだ与えられている指たちを
触ってみている
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