2016年11月30日水曜日

また、指す海



指さす海の
たぶん
遠くからの風
冷たく
吹き抜けて
頬を(ふたりの)
撫でて
もう
うしろへ
彼方へ
といっても
人のいるところへ
行ってしまい
ぼくらは
残る
海と街のあいだに
ほんの
しばらくの
永遠(なんて
ない
なんていう
児戯は
もう
終わり
さ)
を頬や項の肉に
息づかせて
冬でも
夏でもない
水筒のような丈夫さで
何も待たない
地面より上1メートルほどの
肺と
心臓を守って
指だけは
また
指す、海



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