おそるべき物質主義者のわたくしは
定義する
定義し続ける
精神とは
脳細胞たちの働き方の
単なる癖だと
霊とは
多すぎる記憶たちの
夢の余韻
それも
やや離れて眺められた
春霞のような
星雲状の余韻だと
人生とは
ある時あやまって作られてしまった
人生という語が
ひとりさびしく鏡となって
肉体の諸細胞たちの刻々の現象や
脳細胞たちの電気信号への刻々の反応現象を
無秩序に乱反射しているのを
あえていくつかの紋切り型に無理に嵌め込もうとして
うらさびしい場末の公園の水飲み台の
ゆるく開けられっぱなしの蛇口から
ちょろちょろ
水が流れ落ちている光景だと
おお!
そして曇天は
いずれ晴れ間というものが
ある日
また
見られるかもしれないと
わびしい愚かな期待を抱いてしまいがちになる
怠惰で
最期にむかう衰弱の
まだ数段階前の
いちども自分なるものに逢着したことのない視線を力なく放射する
眼球をごくごくスタンダードにふたつ嵌め込まれた頭蓋の
奥に隠れ続けたままの脳の襞の
皮の表面の粘液の
ヌルッとした
解剖されるのでなければ
誰にも触れられることもなく消滅していくだけの感触
なのだと
0 件のコメント:
コメントを投稿