2023年3月30日木曜日

たったひとりで

 

 

桜の花も

もう

散っていく

 

近所の川沿いにも

桜の並木があるので

夜おそく

見に行ってみた

 

夜の川は暗く

不気味なところもあって

あまりよい時間帯ではないが

花数の減っていく木々の下

けっこう気分のよい

しずかな

しっとりした心になった

 

もう花盛りとも言えず

暗くて

ところによっては

黒いほどで

花もよく見えないのに

なにがいいのだろう

と考えてみる

 

そうして気づいたのは

たったひとり

夜陰にまぎれて

たくさんの桜たちとだけ

ずっといっしょ

ということだった

 

たったひとりで

というのが

しずかな

しっとりした心になった

理由だった

 

たったひとりで

 

やはり

桜たちとも

 





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