2016年4月3日日曜日

ようやく仮面を



桜を見て歩くにも
なんやかやと
ブランドにでも惹かれるようにして
人のよく集まる名所も
あっちやこっち
まわってみるうちに
まわり疲れて

やがて
よく知らない町々の
けれども
どこにでもありそうな
雑然とした庭や
苔むした壁の続く通りの
桜並木をめぐり始める

歩いていると
ちょうどなにか
食べるものを作っているのか
醤油のにおいがしたり
焼き魚のにおいがしたり
揚げ物がにおったり
洗剤の花の香りがしたりする

生活のにおいという
あれか…
と思いながらも
人の群れるお祭り騒ぎの
花の名所にはない
くつろぎと
懐かしさに嬉しくなってくる

ほんとは
生活のこんなにおいが
好きなんだ
桜がこんなにおいと
混じり合っているのにこそ
ホッとさせられるんだと
ようやく仮面を外し始めている



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