小野十三郎は
母の友だちのお父さんだったが
教科書で読んだ桜の歌は
なかなか
のんびりと哀切で
とてもよかった
むかしは
いろいろなところで
目にしたが
山村暮鳥なんかも
言い過ぎず
とてもよかった
他には
田中冬ニとか
丸山薫
黒田三郎や
千家元磨
八木重吉だとか
とりわけ
津村信夫など大好きで
時代や政治を
あまりじかに書かないのが
みな
よかった
立原道造も
ずいぶん
ノンキなもんだとも
思うが
詩というのは
あゝあって
もらいたいと思う
人が忙しい時に
ごろニャンとしている
猫みたいに
だれか
いつものんびりと
スミレ色の夢を
見ているような人が
詩人として
いて
ほしい
《私たちの 心は あたたかだつた
《山は 優しく 陽に照らされてゐた
《希望と夢と 小鳥と花と 私たちの友だちだつた*
こんな
よっぽど老いさらばえて
もうどうでも
なってしまえという歳でないと
なかなか
恥ずかしくて
書けないような行句を
よくまァ
二十ちょっとで
書き残したものだと
ほのぼの
感心してしまう
*立原道造『草に寝て…』
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