夏のように分裂している
肉と血の賑わいよ
ひとは死なないどころか
やはり死はない
ひとの死に立ち会って死ぬのは
ほんとうはじぶんの死の部分
あるいはひとの死の部分
それ以外は変質さえしない
だからといって
すべては生きているなどと思えば
たちまち隘賂に入る
生きているとか生という
ことばがひどく誤らせてしまう
時間をたとえば思い直そう
時間は過ぎる
時間は経つ
というが時間の死だろうかそれは
時間は死ぬのだろうか
ひとは時間ではないのか
ひとは過ぎる
ひとは経つ
ということから始め直すほうが
もっと正確に迫れるだろうか
生きていると思い込んでいる
わたくしの内臓のどれもが
おのおの独自のずれを持つ
時間と場であることを感じる
かれらの時間を無造作に
不正確な統一観のもとに
捉えようとしてはならない
夏のように分裂している
肉と血の賑わいよ
わからないでいることで
これまでやって来れたではないか
わからないでいることで
これからもやっていく
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