感情も思いも
まったく分かちあえない
共鳴もできない
生物たちの集まるところ
ちょっとした興味から
そこに
入り込んだだけのことだったと
よくよく
忘れないようにしないと
息がつまってしまう
思念の息が
わたしに青と見えるものが
彼らには真っ赤に見えているらしいし
わたしには恐ろしいまでの黒と見えるものが
彼らには誘惑的なエメラルドに見えているらしい
もともと
細かい一瞬一瞬の翻訳を続けながらの
この地の滞在だったけれど
これまでにもまして
意識して続けていかなければならないらしい
青→真っ赤
恐ろしいまでの黒→誘惑的なエメラルド
というふうに
もうなにも(この地に期待することも
(なにかを誰かと分かち合える可能性も
(皆無なのだから
怖いことなどないつもりだが
ふと不安になるのは
踏み止まる最後の意志までが
急に崩れるのではないか
ということ
なにせ
いちいちのひとつひとつに
やるべき価値
見るべき価値
聞くべき価値
味わうべき価値
話すべき価値
会うべき価値
明日を迎えるべき価値
そんなものをまったく感じられなくなったまゝ
もう何十年も
この地に残り続けているのだから
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