夏の空気は露骨な圧力となって
じかに精神を絞め上げてくる
おかげで
精神があった
そんなもの
まだあったんだと気づく
とうのむかしに
失ったと思っていたが
まだあったのか
この俺にも
心を絞め上げてくるのでもなく
ましてや魂とやらを
絞め上げてくるのでもない
正確確実に精神を
なのだ
絞め上げてくるのは
夏の空気にどうして
感謝をしないでいられよう
古色蒼然に
精神なんぞという
言葉を思い出させてくれて
まるで盲腸か
隠れたままの親知らずか
そんなものに向かう特殊な放射線のように
他のなにものにも触れずに
じかに
精神を絞め上げてくる
夏の空気に
その露骨な圧力に
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