私は思った、《さらば、わたしよ、死すべき妹、虚偽よ…》
ポール・ヴァレリー『若きパルク』
まだ緑の濃い葉っぱなんか持って
落ち着かせるために文字を記すのではないかとも思う
こころをではなく
あたまをでもなく
なにか
もっとべつのものを
葉っぱなんか持って
落ち着かせようとしているのはわたしがではないかとも思う
わたしをではなく
わたしが
葉っぱなんか持って
すべてに目配りしていなくてはいけないと思い込んで疲れているのね
わたし
葉っぱなんか持って
そうして
ことばはすべて子守歌ではないかとも思う
葉っぱなんか持って
わたしの本当の子にまだ会っていないのにもう腕に抱いているかのように
歌っている子守歌
葉っぱなんか持って
本当の子とはどのようでありうるだろう
人でもなく
精神でもなく
葉っぱなんか持って
あまり甘過ぎない餡子の載った
色あいの上品な
おやつか
なにか
ちょっと食べたい
曇って暗い
昼すぎ
葉っぱなんか持って
(呟きたいなら、声に出してお言いよ、
(なんだか、湿っぽいよ、
葉っぱなんか持って
落ち着かせるために…
そう、たぶん、
世のだれひとり落ち着かせたことのなかったものを
わたしが