政治にはまったく心が向かない
みな下らないことばかり言い続けている
政治好きな連中の霊界があって
そこからごそごそ物質界に出てくるのだろうが
考える基本概念からしてこちらとは違っているから
誰にとっても大事なことを扱っているようでいながら
まったく異なった話にばかり進んでいく
心身の話をする際に化学者から
体はこれこれの元素やアミノ酸に過ぎないと言われているようなも ので
そういう見方をすればそうだろうが
問題なのはこれこれの元素やアミノ酸の集積が
なんだか不快になったり故障を起こしたり
今日はビールよりもハイボールのほうが飲みたいかなと思ったり
いろいろと面倒を持ち出してくるということなのだ
政治は権力や金や境界のみを思考する
しかしそれ以外の概念がいくらもこの世にもあの世にもあって
それ以外の概念だけに心が向く作りの人間たちには
政治はどちらにどう転んだところで心惹かれる現象とはならない
さいわいなことには人類には昔から分業癖があり
餅は餅屋に任せるという専門性尊重癖もあるのだから
どっちにどう転ぼうが政治は政治屋に任せておけばよい
そのために連中は金を取ってもいるんだから
政治が市民全員に関わりがあるなどというのはじつはヘンな理屈で
市民が政治に関わらないでいいように代議制は編み出されたし
委任制も構築されてきた経緯がある
たくさんの手術に追われている脳外科の権威が
諸政党の政策の吟味に追われていることほど恐ろしいこと はない
目立たないようでも他のどの専門家たちにとっても事情は同じで
政治屋に政治を放り出しておくためにこそ
とりわけ近代の政治は組織されてきた
カエサルのものはカエサルに
とはまさしくこれで
ふつうの人間が政治に埋没はして行くなよという教えだった
いや政治をつねに注視して行動しなければならないというのなら
してくださいよ、そういうあなたは
あなたの個人的な動きがまさに政治的な動きとなるならば
あなたは政治屋に生まれついたのであって
おやおや自己実現おめでとうということになるわけ
でも私はあなたになど付き合ってはいられない
私はいわばやらねばならない手術に追われ続けの脳外科医で
私がもし政治に注意を向けでもしたら
いつかあなたの脳を手術しなければならない時に
準備ができていない状態で臨まなければならなくなってしまう
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