2016年8月7日日曜日

完全分業論



政治にはまったく心が向かない
みな下らないことばかり言い続けている
政治好きな連中の霊界があって
そこからごそごそ物質界に出てくるのだろうが
考える基本概念からしてこちらとは違っているから
誰にとっても大事なことを扱っているようでいながら
まったく異なった話にばかり進んでいく
心身の話をする際に化学者から
体はこれこれの元素やアミノ酸に過ぎないと言われているようなもので
そういう見方をすればそうだろうが
問題なのはこれこれの元素やアミノ酸の集積が
なんだか不快になったり故障を起こしたり
今日はビールよりもハイボールのほうが飲みたいかなと思ったり
いろいろと面倒を持ち出してくるということなのだ
政治は権力や金や境界のみを思考する
しかしそれ以外の概念がいくらもこの世にもあの世にもあって
それ以外の概念だけに心が向く作りの人間たちには
政治はどちらにどう転んだところで心惹かれる現象とはならない
さいわいなことには人類には昔から分業癖があり
餅は餅屋に任せるという専門性尊重癖もあるのだから
どっちにどう転ぼうが政治は政治屋に任せておけばよい
そのために連中は金を取ってもいるんだから
政治が市民全員に関わりがあるなどというのはじつはヘンな理屈で
市民が政治に関わらないでいいように代議制は編み出されたし
委任制も構築されてきた経緯がある
たくさんの手術に追われている脳外科の権威が
諸政党の政策の吟味に追われていることほど恐ろしいことはない
目立たないようでも他のどの専門家たちにとっても事情は同じで
政治屋に政治を放り出しておくためにこそ
とりわけ近代の政治は組織されてきた
カエサルのものはカエサルに
とはまさしくこれで
ふつうの人間が政治に埋没はして行くなよという教えだった
いや政治をつねに注視して行動しなければならないというのなら
してくださいよ、そういうあなたは
あなたの個人的な動きがまさに政治的な動きとなるならば
あなたは政治屋に生まれついたのであって
おやおや自己実現おめでとうということになるわけ
でも私はあなたになど付き合ってはいられない
私はいわばやらねばならない手術に追われ続けの脳外科医で
私がもし政治に注意を向けでもしたら
いつかあなたの脳を手術しなければならない時に
準備ができていない状態で臨まなければならなくなってしまう



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