2016年8月28日日曜日

ぴっかぴか



この頃
幽霊を見ない
さん
森に行く
カナカナさえ
もう
啼かない
冷え冷えとしてきた
六郎潟
を見下ろせる
逗漉の森
しほしほ丸く
まあるく
歩を
進める
そのまゝ
沢庵
切り分けてもいない
一本
丸ごと
まぁるごと
腰籠にさ入れて
持ってった
ども
北極星
見るまでは
見るまでは
なぁんか信じられね
信じられね
言うて
後は鹿狩りの
解禁の後のように
ずずずっと
山さぁ入って
見ると
新宿副都心
わけ分んねぇと
呟いてる間に
が射す
刺す
差す
砂州
淀橋海岸
ニューマン突堤
茫々と
幽霊は立ち
幾人も立ち
船を待っているの?
みんなで
そんなふうに
立ったまゝ
江戸末期の写真のような
鮮明な線を
顎に
保ったりして
ひちゃっ
ざぶざぶざっぶっ
波じゃなくって
水母みたいな
ぬるぬるの手が
いっぱい
あたしの足を
掴んでいた
掴んでいた
引き摺り込むように
でも引き摺り込めないの
透けちゃってるから
あたし
とろとろに
なくなっちゃっているから
あるかのように
見えているだけだから
ぬるぬるの手たち
驚いて
怯んだけれど
同類
って思ったのかしら
また
いっぱい
触手のように伸びてきて
今度は
愛撫するように
掴む
んじゃなく
指を開いたまゝ
するする
ぬるぬる
する
あら、
突然の
って
あたし思ったら
じゅーっ
音が海じゅうにして
滅んでしまった
みんな
なにもかも
海ばかりじゃなくって
海岸も
ニューマン突堤も
懐中時計
たった一個
宙に
残して
どんな意味かしら
問わないの
でも
もう
問わない
あるものはあれ
なくなるものはなくなれ
って
まるで光のない
曙の
ように
鉛筆はじめて
握った
幼な子の
ように
プラスチックで
これから
時代の
ため
作り直されて
ぴっかぴかなのよ
みんな
ぴっかぴか
ほんと
ぴっかぴか





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