…それなら、詩とはなんだろうか
と都市は思う 草のまばらな
一条ゆかりまで 戻る 二条さゆり
ホワイトコード る ずえありと ずえありと
逆と順のたゆたい ダンス
“助詞も助動詞もしだいに排除していく場だよ”
と 名詞が言い 動詞が言う
“口調を出す単語はすべからく除くべし”
と 文法が言い 語法の抑圧にかかる
語法、管理すべし
慣用句、廃すべし
感情や平成末期的世間的常識に漬け込んだ思念もまた
も また 除くべし
「日本、まだ駄目。働く人、これ。(腰をかゞめて、 縮こまつてみせる。)働かない人、これ。(威張つて、 相手をなぐり倒す恰好。)それ、みんな駄目! ーー働く人、これ。(形相凄く立ち上がる、 突つかゝつて行く恰好。相手をなぐり倒しフンづける真似。) 働かない人、これ。(逃げる恰好。)日本、ーー働く人ばかり、 いゝ國。ーープロレタリアの國!分る?」*
ドーコトイワホ る ずりありと ずりありと
それは変圧器 知と思念と感情と実践の
それはモニター 使用単語少なめの
それは言の寺 すなわち巷でなく 家住まいでなく
それは未知へ向けられた備忘 できうれば美貌の
しんしん と 音がするね
音が してきているね
しんしん と
まだ人間の耳を持っていなかった頃
聞いただろ、よく…
しんしん
しんしん
しんしん
しんしん……
*小林多喜二『蟹工船』
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