2018年10月21日日曜日

時間がながく経ってみれば

 
小さなよろこびも
そこそこ大きなよろこびも
あれこれ
追ってきてみたが

よろこびと
それほど
よろこびでもないようなこととは
時間がながく経ってみれば
思い出のなかでは
ほとんど
おなじこと

たくさんの人が訪れる
訪れたがる
有名なにぎやかな場所での
とある日の
あかるい陽ざしのなかでの光景は
時間がながく経ってみれば
だれも知らない
かつての家の裏の
壁ぞいの暗い隙間に埋めた
死んだ子猫の小さな墓の光景と
ほとんど変わらない

アイスキャンディーの棒の墓標を立て
わたしひとり
手むけた線香一二本の煙を
しばらく見下ろしていた
あの時の光景と
ほとんど変わらない

時間がながく経ってみれば



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