やわらかい足裏がいつも

帰宅して

鍵もかけないまゝ

バッグや

買ってきたものなどを

まずは運び込む

そうして

すぐ

玄関に戻って

鍵をかけようとすると

！！！！！

鍵がかかっていることが

なんども

あった

そればかりか

脱いだまゝ

まだ

出しっぱなしのはずの靴も

ちゃんと

靴置きの棚に

片付けられていることも

あった

もう

ずいぶん昔の

古い

古い家での

ひとり暮らしの頃のこと

暗い廊下を行くたび

音もしないのに

ひたひた

やわらかい足裏が

いつも

つき従ってくるような気がした

古い

古い家での

ひとり暮らしの頃のこと