2020年3月27日金曜日

夢からこの世へと覚めて来るときのふしぎに




夢からこの世へと覚めて来るとき
ふしぎに
わたし
まだまだ
こだわっているよ

この世へと覚め上がった(覚め下った?)のに
夕方まで
目覚めのときのふしぎを抱えて
ぼんやり
過ごしてしまっている
もある

きょうは
道の上が木々の枝葉で覆われた雰囲気を
圧倒的な現実感で受け止めながら
目が覚めた

あゝ、これは
わたしの1990年代の住まいの前の道
自動車が片側一台しか通れない細めの道で
うちの前には江戸時代から続く豪農の屋敷があって
高い木々の枝がそこの長い塀から道の上に覆い被さっていた
この道に入ってくると森の中のようで
いっしょに住んでいたエレーヌはこの雰囲気を愛した
そこに住むのを決めたのはこれのためだったほど

あゝ、これは
また
ブルターニュの友シルヴィの家までの小道
村の大通りから曲がりくねって
さらに曲がりくねって
車がようやく一台通れるような森のなかの道を行くとき
両側からの木々の枝葉ですっかり覆い尽くされて
ちがう世界に入っていくのだとわかる
その道を抜けると湖があり
大きなコテージがあってそこが彼女の家

夢なのだ
思い出なのだ
存在しないものなのだと
この世では思わされることになっているが
目を開けて
からだを動かしつつ
迎え続ける日々の一瞬一瞬よりも
もっと現実のようなのは
どうして?

一生
これだけにこだわってきて
わたし
まだまだ
こだわっているよ

夢からこの世へと覚めて来るとき
ふしぎに




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