ポトスの鉢がいくつか居間にあって
どれも
シェルフの上のほうの棚に置いてあるが
扱いは
けっこう
ぞんざいかもしれない
水をやるのはよく忘れるし
土にしても
だいぶ
減ってしまっているものもある
肥料など
まったくやらない
それでも
長い茎を下のほうに何本も伸ばし
葉もけっこう繁茂している
居間は
仕切り戸を開け放って
わたしの書斎とひとつづきにしてあるので
シェルフは書斎にも突き出ているが
書斎側に置いてあるポトスなど
いちばん繁茂していて
どの葉も青々としているし
適度に白い斑も入っていたりして
みごとな姿を見せてくれている
置き時計の上にちょっと葉が被さっているのなど
うれしい小風景となっている
ポトスのもともとの強さのおかげで
こんないい加減な生育法でも耐えてくれているのだろうが
こんなに強いポトスでも
場合によっては
あっという間に滅びてしまうのを
目のあたりにしたことがある
人生の長い時間をわかちあったエレーヌ・グルナックの家に
いくらかはグリーンを
と思って
わたしのポトスを挿し木して
三つほどの鉢を持っていき
室内に置いてやったことがあった
半年ほどは青々と葉も茂り
順調に茎も伸びていったように見えたが
ある時から茎ぶりが細くなり
元気がなくなって
やがて三つの鉢のポトスのどれもが
枯れるというより
腐ったようになって
滅びていってしまった
水をやらな過ぎたからか
それともやり過ぎたからか
そんなことを考えたり
話したりして
こんな強い草をダメにしてしまうなんて
まったくあなたは…
と呆れ口調で言ったりしていたが
それから程なくして
エレーヌは末期ガン宣告を受けることになった
本当は
水のやらな過ぎだったか
やり過ぎだったか
そんなところが理由だったかもしれないが
彼女の末期ガンを告げられた時
わたしはやはりポトスのことを思わざるをえなかった
告げていたのだなと
やはり思わざるをえなかった
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