2020年3月16日月曜日

駆逐艦「笹」



美はいつも易々たる姿をしている
ジャン・コクトー



靖国神社の
桜の木々
まだ咲いていなくても
見てまわり
ほかの木々も見てまわりながら
戦時中の隊の隊員たちによる
「○○隊寄贈」という札を
いちいち
読んで行く

駆逐艦「槇」の乗組員は
ちゃんと槇の木を寄贈していて
さすが
とも
なるほど
とも
そりゃそうだろうな
とも思う

駆逐艦「竹」の乗組員は
竹を寄贈せずに
ほかの木を寄贈していた
名前は知らないが
庭木に使われそうなもののうちの
ひとつ

竹を寄贈はしないわけか
と思いながら
そんなもんかな
とも
なんかなぁ
とも
竹でもよかったんじゃないのか
とも

ひょっとして
駆逐艦「笹」なんてのも
あったりして?

スマホですぐ調べてみたら
どうも
なかったらしい

やっぱりなぁ
とも
そりゃそうだろう
とも
当たり前だろうなぁ
とも

きっと
新しい駆逐艦の名をつける時に
だれかに提案されたものの
却下されたんだろう
「『笹』はどうでありましょうか?」
「貴様、帝国の駆逐艦の名が『笹』でよいと思うのか?」
「はっ」
「重みがなさ過ぎるとは思わんのか?」
「はっ」
そんなやりとりがあったかもしれない
軽みのわからないやつは
いつの時代にも
どこの世界にも
いっぱいいるのだ

駆逐艦「粟」とか
駆逐艦「稗」なんかは
提案される以前に
自粛されてしまったにちがいない

そんな名が付けられたら
逆に
とっても強い船になったと
思うんだが




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