2020年9月27日日曜日

私ハ、ヤハリ、モウ、亡霊ニ、ナッテ、イル、ノカ……



20113月の東日本大震災が起こった後

Twitterで一般の人々が上げてくるリアルタイムの現場情報に惹かれた

個々の情報の真偽はもちろん問題となっても

情報は本来玉石混淆のまま多量に採らないと意味がない

そこではじめてtwitterfacebookの情報を毎日多量に見ようと考えた

twitterfacebookに登録して東北からの被曝情報を集め始めた

少し先から始まってその頃進行中だったアラブの春“で

twitterが大きな役割を演じているのを見ていたのも理由となった

 

PCiPadで見ればよかったが外出先でも見られるようにしたかった

外出時にも余震は頻繁に起こっていたので

どこでなにに見舞われるかわからない状況だったのだ

旧来の携帯電話を維持したままでよいと判断していたので

iPhoneは買わずにLTEの利用できないiPodを買って

Wi-Fiの使えるMacDonaldやコンビニで必要に応じて見られるようにした

 

iPodは価格コムで安売りの店を探して買ったが

本郷三丁目のあたりに集まっている電化製品問屋まで出向いた

南北線の王子神谷駅近くに住んでいた頃だったので

メトロ+徒歩で東大前駅までは家から20分ほどで行けるため

よく東大構内を散歩したり三四郎池で佇んだりしていたが

iPodを買う際にも東大前で下りて本郷三丁目まで歩いて行った

買ってからさっそく本郷三丁目交差点のMacDonaldに入っ

コーヒーだけ買って2階に上がってiPodの設定を始めた

自宅でなく外でtwitterのタイムラインが見られるのにはやはり驚きがあり

これからは自分の行動様式も変わっていくのだと実感した

当時はメールアドレスを30個以上作ってあったので

それらのうち20個ほどを使ってtwitterのアカウントをたくさん作った

もともと発信に重きを置かず情報収集のみが目的だったので

すべてのアカウントを使いこなすわけではなかったが

それでもひとつのアカウントでは左翼的なものを集め

他のアカウントでは右翼的なものを集め

正確な情報を発信しようとする生真面目な発信者を集めたり

その逆にホラを飛ばす傾向の強い発信者をあえて集めたりした

飲食店情報ばかり集めたり旅行用の情報ばかりを集めたり

海外の新聞や雑誌などのメデイアばかりを集めるアカウントも作っ

オカルト情報や神秘主義系の情報集積アカウントも作れば

文化的な気骨のある情報発信者たちを集めたものもある

 

twitter2011年とはずいぶん雰囲気が変わり

現在ではよけいに情報発信はしないほうがいい時代に入っている

しないほうがいいというより発信になんの意義もない時代に入った

個別化が進んだかのようで実際は群れ化が激しく力を得て

どのような領域でも羊の群れのように動く人類となっている

政治や社会情勢にまつわるツイートの数は昔と比べて格段に増えた

軽薄な反応をそのまま短文にしようとするものばかりになり

どのような傾向のものであれちょっと気のきいた一発芸でしかない

もちろん世相や人々の思いの風潮は如実に反映しているので

現代を観察する者や社会学の一部の研究には適した素材ではあろう

昔なら噂話や井戸端会議や日記で消費されていた話題が言語化されるので

伝播力も破壊力も空しさも倍加されてはいるものの

もともと人間の心理とそれが内心で言葉になっていく場面というの

このようなものでナタリー・サロートなどはそこをよく掬っていたから

今さらながらに驚いたり嘆いたりするのも愚かでしかない

 

それにしてもtwitter程度の短さの文というのは効力があるもので

情報量にも分析力にも思考力にも整理力にも限界のある一般人が

やけにもっともらしいことを述べてみせるにはちょうどよいひとり舞台である

これがたとえば最低2000字だの10000字だのを基準として

それより字数が少なければアップできないようなシステムにすれば

個々の発信者の思考力や表現力や文章力の低さはたちまち露呈されるはずで

インターネットの世界では一気に発信者の自然淘汰が進むことになろう

 

2011年の3月に買ったiPodはもう壊れてしまっているが

あの軽さと薄さと機能性の素晴らしさをはじめて手にした時の驚き

後続の機器をいくつも手にした後の現在でもまったく薄れることはないし

もう使えずに不要だというのにまだ机の引出しにしまってある

その頃にiPodに入れた音楽もそのまま残してあるし

2011年から数年の間に撮った写真も動画もまだ中には残ってい

それらのデーターはすでに取り出してあるが

iPodで撮った重要性のまったくないおりおりの巷の写真や動画

時々PC上で見直すと今の2020年にも増して現代や現実を感じさせる

そう感じる時、私ハ、ヤハリ、モウ、亡霊ニ、ナッテ、イル、ノカ……、と思う





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