2020年10月12日月曜日

傘も差さないでいいような小雨

 

昨日

十月十一日

傘も差さないでいいような小雨の降るなかを

森のなか

森のそと

街のなか

大通りに沿って

あるいは

沿わないで

歩き続けた

 

時々は傘を差したくなって

差したり

やはり

閉じたり

けっこう濡れるので

また

差したり

 

そうしながら

この雨を的確に表わす単語を持っていないことに

もどかしさを覚えた

糠雨

小糠雨

これらは近いが

秋のこの時期の雰囲気を含めた単語となると

濡れながら歩き続ける

自分の手持ちの語彙にはなかった

 

霧雨

小雨

どれも十分でなくて

 

秋雨

秋霖

秋黴雨

これらでは言い過ぎのようで

 

俳句を二三

思い出してみて

誤魔化そう

する

 

秋雨の瓦斯が飛びつく燐寸かな   中村汀女

時間とて止まることあり秋の雨   平林 良

コーヒー店永遠に在り秋の雨    永田耕衣

秋霖や先見えてなほ遠き道     社本矩子

 

どれも

違うんだ

 

昨日

十月十一日

傘も差さないでいいような小雨




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