わたしの子どもの頃は
アイスクリームといっても
それほど種類があるわけではなかった
もちろんバニラがあったが
ほかにはチョコレート味や
へんな着色料と添加物でつくった
オレンジ味やイチゴ味や
メロン味のようなものがあった
せいぜいこんなところが
味のヴァリエーションで
アイスクリームが食べられる時は
シンプルなバニラなど
子どもは避けがちだった
大人になっても
バニラぎらいはなんとなく続いたが
そもそもアイスクリームを
ほとんど食べなくなったので
ほかの味を選ぶというのでもない
アイスクリームどころかかき氷さえ
まったく食べなくなっていった
いつのころからか
レストランのデザートで食べたりするうち
シンプルなバニラアイスというのが
とてもおいしいと思うようになった
チョコレート味やピスタチオ味などでなく
ただバニラの味がついているだけの
白いすんなりしたアイスクリームが
いちばんうまいと感じるようになった
子どもの頃に食べたアイスクリームは
たぶん質のいいものではなかっただろう
駄菓子屋の店先の冷凍ケースから選ぶのは
ラクトアイスのたぐいだったのではないか
暑い日に紙カップに木の匙を挿して
掻くようにして食べるぶんには
子どもにはじゅうぶんだったとはいえ
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